防長鶴特集

JR徳山駅から車で約10分、
区画整理された大通りを少し入ると、
旧山陽道に行き着いた。
なぜ酒蔵周辺は昔ながらの空気感が残るのだろう。
いつも発展と伝統の狭間を見るような気持ちになる。

山縣本店では開店と同時に、
店頭に防長鶴ののぼりが泳ぎ出す。

1875年(明治8年)創業の山縣本店。
旧山陽道沿いの外観からはとても想像できないほどの規模。
瓶詰め所周辺の天井の異常な高さに驚いていると
「これは約250年前に築造された芝居小屋を移築した建物です」
と、山縣社長が直々に説明してくれた。
なんと現遠石八幡宮の近くにあった伝統ある芝居小屋を約100年前に移築したのだという。

山縣本店の145年を超える歴史は
あまりにも自然に随所に息づく。

その中で、若き杜氏・小笠原さんをはじめ
蔵人4名は酒造りに勤しむ。
若いと言えど、取材時の洗米の工程ですら
タイマーで寸分の狂いがないよう確認しながら、杜氏自らが洗米をこなし、
補助する蔵人との息の揃う様は、熟練の職人のそれだった。

また山縣本店の最大の特徴は、
原材料を山口県産にこだわっていること。
主力商品の「かほり」「防長鶴」など日本酒のみならず、
山口県の紅芋で作った芋焼酎「要助」や、
地元の梅を漬け込んだ梅酒「梅のかほり」といった商品。
それらの原材料である米、芋、梅は自然豊かな山口県の農家がこだわり、生産したものだ。

そして代表銘柄の「防長鶴」は、
山口県がかつて二分されていた
「周防国」「長門国」の2つの総称である
「防長(ぼうちょう)」、
加えて、蔵の近くに飛来していた「ナベツル」が名前の由来とされている。
ナベヅルを模したラベルは、
米、雨、光、山、海をシンボル化し、
自然への感謝の思いが込められているという。
爽やかな酸味にフルーティな甘味があり、濃厚な旨味の後には程よい後味が舌に残る酒だ。

杜氏の「美しい酒をつくる」という目標のもと作り上げられる日本酒は、
国内外問わず高い評価を得ている。
山口県酒造組合の2021年度新酒鑑評会では、
大吟醸酒の部と純米吟醸酒の部で「防長鶴」が優等賞に選ばれた。

創業150周年目前に、
進化を続ける山縣本店から目が離せない。

「あなたのおもしろいを教えてください」

「いろんな人と美味しい地酒を酌み交わす」

株式会社山縣本店
代表取締役社長 山縣俊郎

防長鶴 株式会社山縣本店
山口県周南市久米2933
お問合せ先
TEL:0834-25-0048
FAX:0834-25-2703