「うまかったでしょう!」
廣兼社長は凛々とした瞳で言った。
営業文句などなくとも、その一言にひどく説得力があったし、
その声かけがなくとも、私の口からは
「うまい」以外の言葉はなかった。
猪肉の概念が覆る食べ物だった。
脂がとにかく甘い。
そして奥行きのある香りと旨みに、
猪肉が臭いという思い込みは払拭される。
そうか、猪肉は脂を楽しむ食べ物なのか。
廣兼社長は自ら山へ入り、年にたったの約2ヶ月だけ狩猟を行う。
この約2ヶ月だけ猪が最高に美味しくなるという。
猪は駆け回る、錦町の雄大な自然の中を。
そして日本名水百選にも選出された水を飲み、
豊かな森の恩恵を身に宿す。