日本三名橋として名高い錦帯橋から車で約15分、
今津川の目の前に八百新酒造の酒蔵がある。
酒造名は、創業者の八百屋新三郎にちなみ、
酒蔵のある敷地は岩国藩主・吉川家の別邸。
明治初期に建てられ、和の伝統的な要素と洋のモダンな要素の融合した外観が印象的だ。
雁木とは桟橋の船着場にある階段のことで、
かつては原料米を雁木から水揚げして酒造りが行われたという。
八百新酒造内はしめ縄が掛けられた部屋や、
酒造りの神として有名な松尾大社のお札などを祀る神棚、
白蛇を祀る祠など、日本酒らしい日本文化の息づく造りになっていた。
今回特別に入らせていただいた麹室も、神秘的な雰囲気が漂う。
麹室とは麹造り専用の部屋のこと。
両腕で蒸米を抱くようにほぐしながら温度と湿度を整える。
指先の感覚で蒸米のコンディションを読み取るという、なんとも職人技だ。
雁木ができるまでの、ほとんどの工程が手作業。
一つ一つ手間ひまが、珠玉の一杯を生み出す。
個人的には雁木は辛口が苦手という人にこそ飲んでもらいたい。
さらりとした口当たりから、波紋が広がるかのように染み渡る味わい。
香水のようにトップノートからラストノートへと
スムーズに味は変化し、気持ちよく口の中から消えていく。
繊細で芸術的な味わいの裏側には、
八百新酒造の日本らしい美しい職人技があった。
これからはその想いを噛み締めながら、味わっていきたい。
「あなたのおもしろいを教えてください」
「微生物との対話
家ではピーちゃん(セキセイインコ)との会話」
八百新酒造株式会社 杜氏 榊田康之
雁木 八百新酒造株式会社
山口県岩国市今津町3-18-9
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